花をみつめるとき、その何をあなたはみているのか。
1979年、ナムジュン・パイクはテレビのブラウン管のモニターに映る花と、「FLUX」と描かれた鉢に植えられた花、二つの花を一枚の紙にドローイング作品として描いた。ラテン語で「流れ」を意味する「フルクサス(FLUXUS)」は、1960年代、ジョージ・マチューナスを中心とした国際的な芸術運動で、ビデオ・アートの父と呼ばれるパイクのアーティストとしての原点。「いちどビデオテープに映ってしまえば、人は死ぬことを許されない」(ナムジュン・パイクの言葉)。モニターに映った花は枯れることを許されないのだろうか。
コロナ禍で、ただ2年の間に、誰かと実際に会うことは、特別なことになってしまった。何かとの出会いはモニターの画面越しにもたらされる。画面越しの出会いでは、視覚に依るところが増し、触覚や嗅覚などは無力のようだ。共有されつづける画面により、視覚は個人の感覚である以上に、他者と共有する感覚となった。自分と他者を意識するともなく、もはや自分の体験と他者の体験、自分の感情と他者の感情は混在し、その区別さえ難しい。それでも花は美しく咲き、枯れ、その花の美しさを感じているのは、花をみつめているあなた自身である。
アーティストたちが描くドローイングの線は、私たちがみつめているとき、未知のヴィジョンへの補助線となる。ドローイングとの出会いは、道を歩くようなこと。自分の歩幅で、自分のスピードで、未知の場所へと向う。視覚トリップは、身体感覚をともなう。川の向うの花をジッーと目を細めてみつめる、目前の花の絵をパっと目をみひらき凝視する。そのとき、あなたの目は花のように美しい表情をもつ。
視覚トリップ展では、アーティストたちの作品を通し、視覚体験を楽しんでいただきたく、ワタリウム美術館のコレクション作品から、アンディ・ウォーホルの初めてのドローイング集「サムという名の25匹の猫と青い子猫ちゃん」、ナムジュン・パイクが描いた、笑っているテレビ、泣いているテレビのドローイングなど約60点、1984年、ヨーゼフ・ボイスが東京で描いた黒板ドローイング「コンティニュイティ(連続性)」など、14人のドローイングやペインティング作品計160点、さらにゲストアーティストとしてさわひらきの映像作品「/home」「/home (absent room) 」と新作ドローイングを展示します。
1972年、ワタリウム美術館前身のギャラリーがオープン。コレクションとして登場する人物たちは、今や現代美術を代表するアーティストです。新しいアート作品と出会いながら、アーティストと交流し展覧会をつくる姿勢は、今もかわらず、ワタリウム美術館の展覧会に受け継がれています。どうぞワタリウム美術館のコレクションをお楽しみください。
- 視覚トリップ展
- 視覚トリップ展の見どころ
- アイラブアート16 視覚トリップ展 展示内容
- アーティスト
- 青木陵子 Ryoko Aoki
- 伊藤存 Zon Ito
- ジグマー・ポルケ Sigmar Polke
- ナムジュン・パイク Nam June Paik
- ヨーゼフ・ボイス Joseph Beuys
- オラファー・エリアソン Olafur Eliasson
- アンディ・ウォーホル Andy Warhol
- キース・へリング Keith Haring
- ジョナサン・ボロフスキー Jonathan Borofsky
- クリスト Christo
- ジュリアン・シュナーベル Julian Schnabel
- マルセル・ブロータス Marcel Broodthaers
- 河原温 On Kawara
- 有馬かおる Kaoru Arima
- さわひらき Hiraki Sawa
- アーティスト
視覚トリップ展
現代美術を代表するアーティストたちのドローイング作品展
1972年、ワタリウム美術館前身のギャラリーがオープン。以降、新しいアート作品と出会いながら、アーティストと交流し展覧会をつくる姿勢は今もかわらず、ワタリウム美術館の展覧会に受け継がれている。今回の『視覚トリップ展』では、同館のコレクション作品の中から今や現代美術を代表するアーティストとなったウォーホル、パイク、ボイスらのドローイングを中心に展示。彼らの作品を通し、視覚体験を楽しめるものになっています。
視覚トリップ展の見どころ
アンディ・ウォーホルの初めてのドローイング集「サムという名の25匹の猫と青い子猫ちゃん」、ナムジュン・パイクが描いた、笑っているテレビ、泣いているテレビのドローイングや、1984年、ヨーゼフ・ボイスが東京で描いた黒板ドローイング「コンティニュイティ(連続性)」など、14人のドローイングやペインティング作品計160点を展示。さらにゲストアーティストとして、さわひらきの映像作品「/home」「/home (absent room) 」と新作ドローイングも見ることができます。
花をみつめるとき、その何をあなたはみているのか。
1979年、ナムジュン・パイクはテレビのブラウン管のモニターに映る花と、「FLUX」と描かれた鉢に植えられた花、二つの花を一枚の紙にドローイング作品として描いた。ラテン語で「流れ」を意味する「フルクサス(FLUXUS)」は、1960年代、ジョージ・マチューナスを中心とした国際的な芸術運動で、ビデオ・アートの父と呼ばれるパイクのアーティストとしての原点。「いちどビデオテープに映ってしまえば、人は死ぬことを許されない」(ナムジュン・パイクの言葉)。モニターに映った花は枯れることを許されないのだろうか。
コロナ禍で、ただ2年の間に、誰かと実際に会うことは、特別なことになってしまった。何かとの出会いはモニターの画面越しにもたらされる。画面越しの出会いでは、視覚に依るところが増し、触覚や嗅覚などは無力のようだ。共有されつづける画面により、視覚は個人の感覚である以上に、他者と共有する感覚となった。自分と他者を意識するともなく、もはや自分の体験と他者の体験、自分の感情と他者の感情は混在し、その区別さえ難しい。それでも花は美しく咲き、枯れ、その花の美しさを感じているのは、花をみつめているあなた自身である。
アーティストたちが描くドローイングの線は、私たちがみつめているとき、未知のヴィジョンへの補助線となる。ドローイングとの出会いは、道を歩くようなこと。自分の歩幅で、自分のスピードで、未知の場所へと向う。視覚トリップは、身体感覚をともなう。川の向うの花をジッーと目を細めてみつめる、目前の花の絵をパっと目をみひらき凝視する。そのとき、あなたの目は花のように美しい表情をもつ。
視覚トリップ展では、アーティストたちの作品を通し、視覚体験を楽しんでいただきたく、ワタリウム美術館のコレクション作品から、アンディ・ウォーホルの初めてのドローイング集「サムという名の25匹の猫と青い子猫ちゃん」、ナムジュン・パイクが描いた、笑っているテレビ、泣いているテレビのドローイングなど約60点、1984年、ヨーゼフ・ボイスが東京で描いた黒板ドローイング「コンティニュイティ(連続性)」など、14人のドローイングやペインティング作品計160点、さらにゲストアーティストとしてさわひらきの映像作品「/home」「/home (absent room) 」と新作ドローイングを展示します。
1972年、ワタリウム美術館前身のギャラリーがオープン。コレクションとして登場する人物たちは、今や現代美術を代表するアーティストです。新しいアート作品と出会いながら、アーティストと交流し展覧会をつくる姿勢は、今もかわらず、ワタリウム美術館の展覧会に受け継がれています。どうぞワタリウム美術館のコレクションをお楽しみください。
アイラブアート16 視覚トリップ展 展示内容
ウォーホル、パイク、ボイス 15人のドローイングを中心に
アーティスト
青木陵子 Ryoko Aoki
1973- 日本
動植物や日常の断片、幾何学模様などをイメージの連鎖で描き、その素描を組み合わせた作品を制作。
伊藤存 Zon Ito
1971- 日本
刺繍で描く絵画作品をはじめとして、アニメーション、ドローイング、彫刻作品を制作。
ジグマー・ポルケ Sigmar Polke
1941-2010 ドイツ
様々な素材や様式を自由に組み合わせた作品で、印刷文化におけるイメージや絵画そのものについて再考することを試みる。
ナムジュン・パイク Nam June Paik
1932-2006 韓国/アメリカ
TVやビデオなどのメディアを初めてアートに取り入れた「メディア・アート」の第一人者。その作品にはテクノロジーと東洋の思想の融合が見られる。
ヨーゼフ・ボイス Joseph Beuys
1921-1986 ドイツ
『社会彫刻』という概念を提唱し、20 世紀後半以降の様々な芸術に影響を与えた。「誰もが芸術家」はボイスの有名な言葉。
オラファー・エリアソン Olafur Eliasson
1967- デンマーク
空間、光、水、霧などの自然界の要素を用いて、人間の知覚の仕組みや認識を問い直すような作品を制作。
アンディ・ウォーホル Andy Warhol
1928-1987 アメリカ
1950年代、商業イラストを描く一方、ポップ・アートの作品制作を試みる。大衆文化のイコンを題材にした作品で、圧倒的な支持を得た。
キース・へリング Keith Haring
1958-1990 アメリカ
1980年代初頭、ニューヨークのイースト・ヴィレッジから現れ、瞬く間に世界にその名が知れたグラフィティ・アートの先駆者。
ジョナサン・ボロフスキー Jonathan Borofsky
1942- アメリカ
夢を題材に、コミカルな非現実のふりをしながら、社会問題や人間の命題を凝縮し潜ませた作品を制作。
クリスト Christo
1935-2020 ブルガリア
巨大な建造物や自然をまるごと「梱包」してしまう大規模なインスタレーションによって、芸術とは何かを問いかけた。
ジュリアン・シュナーベル Julian Schnabel
1951- アメリカ
1980年代のニュー・ペインティングの旗手。壊れた陶器の皿をキャンバスに貼付けた巨大な絵画で一躍有名となる。近年は映画監督としても活躍。
マルセル・ブロータス Marcel Broodthaers
1924-1976 ベルギー
ルネ・マグリットの影響を強く受け、アートの在り方を探りつづけた。身近で伝統的な素材を用い、類いまれな繊細さとアイロニーで作品を表現。
河原温 On Kawara
1933-2014 日本
コンセプチュアル・アートを代表する作家。1966年より、制作された日の日付だけを描いた『日付絵画』シリーズを制作。
有馬かおる Kaoru Arima
1969- 日本
1996年、住んでいたアパートを「キワマリ荘」と改名、そこでギャラリーを開設し話題を呼ぶ。新聞紙を支持体とするなど実験的な絵画制作に取り組む。
さわひらき Hiraki Sawa
1977- 日本
大量の飛行機が部屋を飛び回るなど、日常空間に本来あるはずのないイメージを登場させ、幻想的な映像作品を制作。
青木陵子/伊藤存/ジグマー・ポルケ/ナムジュン・パイク/ヨーゼフ・ボイス/オラファー・エリアソン/アンディ・ウォーホル/キース・へリング/ジョナサン・ボロフスキー/クリスト/ジュリアン・シュナーベル/マルセル・ブロータス/河原温/有馬かおる
⟨ゲストアーティスト⟩
さわひらき
開催場所 | ワタリウム美術館 |
---|---|
料金 | 大人1200円、大人ペア2000円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上1000円 ※その他の詳細は公式HPまで |
開催日 | 2022年1月22日(土)~5月15日(日) 休館日:月曜日(3/21は開館) |
開催時間 | 11:00~19:00 |
電話番号 | 03-3402-3001 |
住所 | 東京都渋谷区神宮前3-7-6 |
交通アクセス | 【電車】東京メトロ「外苑前駅」3出口から徒歩7分 |
駐車場 | なし。 |
ホームページ | 公式ホームページほか、関連サイトはこちら |
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